企業研究を始めると、SIer各社に「DX」「クラウド」「課題解決」といった言葉が並び、違いが見えにくくなります。比較するなら、会社のキャッチコピーだけでなく、誰の業務を、どんな技術で、どの工程から支えるのかを見ましょう。
この記事ではNTT DATA、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)、JSOLの公式公開資料を例に、企業研究の進め方を整理します。企業の優劣や内定の取りやすさを順位付けするものではありません。
情報確認日:2026年10月15日(日本時間)。事業の説明と編集部の比較・質問案を分けて掲載しています。特定卒年の募集開始・締切をまとめた記事ではありません。
最初に「事業」と「応募する法人・コース」を分ける
ブランド全体の事業を読んでも、自分がその仕事に配属されるとは限りません。比較メモには会社名だけでなく、採用法人、対象卒年、職種・コース、配属の決まり方を別々に書いておくと、思い込みを減らせます。
例えば、確認時点のNTT DATA募集要項は、NTTデータグループ・NTTデータ・NTT DATA, Inc.による共同採用を案内し、応募資格には2026年4月~2027年3月末の卒業・修了見込みを記載しています。これを2028年卒向け条件として転用することはできません。NTT DATA公式募集要項
一方、JSOLのコース紹介には28年入社向けとの明記があります。同じ日に読んだ公式ページでも対象年度はそろっていません。給与や選考情報を横並びにするときは、年度も確認しましょう。JSOL公式募集要項・コース紹介
3社の違いを考える、企業研究の入口
NTT DATA:顧客の業務と、システムが担う役割から読む
公式資料で確認できること:新卒採用サイトでは、官公庁・自治体、金融、製造・物流などの分野と、開発・運用するシステムの例を紹介しています。決済分野ではCAFISなどを掲載しています。NTT DATA公式「事業領域」
比較の考え方:「社会に影響があるから」で止めず、一つのサービスを選び、誰が日々使い、停止すると誰が困るかまで書いてみましょう。そこで扱う業務の複雑さや、更新時に守るべき条件への興味があるかを考えると、志望理由の材料になります。
説明会で確認したいこと:その分野に関わる採用法人・部署はどこか。若手は業務理解、設計、開発、運用のどこから経験するのか。希望分野に進む仕組みと、希望どおりにならない場合の選択肢は何か。
CTC:技術を組み合わせ、確かめて導入する仕事から読む
公式資料で確認できること:CTCは複数のIT企業との連携や技術の組み合わせを説明し、TSCという検証施設を紹介しています。そこではハードウェアやクラウドなどを用いた、導入前の検証が可能としています。これは企業の事業説明として参照したもので、キャリア採用の応募条件を新卒へ流用してはいません。CTC公式「CTCとは?」
比較の考え方:製品名を多く知ることだけが目的ではありません。顧客の要件に対して、性能・費用・運用のしやすさをどう確かめ、なぜその構成を選ぶのか。こうした判断に興味があるなら、検証から導入までの事例を読むと仕事を想像しやすくなります。
説明会で確認したいこと:希望職種では製品検証にどの程度関われるか。顧客への提案と技術検証を誰が分担するか。入社後に扱う技術や担当領域はどう決まるか。
JSOL:ITの仕事とCAEの仕事を、コース単位で読む
公式資料で確認できること:JSOLはITソリューションと、ものづくりを支えるCAEソリューションの事業を紹介しています。会社全体を一言で理解する前に、どちらの仕事を調べたいか切り分けるのが出発点になります。JSOL公式「事業本部紹介」
28年入社向けのコース紹介には、ERP、クラウド・プラットフォーム、セキュリティなどの区分があります。また、原則としてES提出後のコース変更を受け付けないと案内しています。応募する際には、その時点の募集要項で対象コースと条件を確認してください。JSOL公式募集要項(ページ更新日:2026年8月31日)
比較の考え方:業務の流れを整理してシステムへ落とし込むことに関心があるのか、技術基盤を設計したいのか、解析を通じてものづくりへ関わりたいのか。会社名より先に、取り組みたい問題を言語化すると調べる順序が決まります。
説明会で確認したいこと:コースの仕事で必要になる知識、研修後の担当業務、専門性を変えたり広げたりする機会は何か。大学で学んだ内容を使う場面と、入社後に学び直す内容を分けて聞いてみましょう。
共通の特徴を、その会社だけの強みにしない
今回の3社についても、顧客課題への対応や複数の工程への関与は、公式資料に共通して見られる要素です。「上流から関われる」「幅広い業界を支える」という一文だけでは、他社との違いを説明しきれません。
そこで比較メモは、各社について次の5項目を一つずつ埋めます。情報がなければ空欄のまま、次に確認する質問にしましょう。
- 関心のある顧客業界と、具体的なサービス・導入事例
- その顧客が抱える課題と、システムが担う役割
- 自分が希望する職種と、担当する工程
- その会社で学べると考えた技術・業務知識、その根拠
- 配属や働き方について、まだ分からないこと
例えば「技術を組み合わせたい」という関心なら、CTCだけを確認して終わらせず、他社の類似事例も調べます。そのうえで、扱いたい技術、顧客との関わり方、検証の機会など、自分が重視する条件の組み合わせを比較するのが実用的です。
企業研究を面接用の言葉へ変える
次の順序なら、企業サイトの言い換えだけになりにくくなります。
- 自分の関心:どんな問題を解く仕事に関わりたいか
- 企業の根拠:どの公式事例・職種説明に、その接点があるか
- 比較:他社もできることと、さらに確認したい違いは何か
- 経験:実際に自分が行った取り組みから、接点を一つ示す
文章の型は「私は[取り組みたい課題]に関心があります。御社の[具体的な事例]を読み、[仕事の進め方]に惹かれました。自身の[実際の経験]で学んだ[考え方]を生かし、[希望する役割]へつなげたいと考えています」です。空欄を実体験で埋められなければ、無理に完成させず、関心の理由を見直してください。
この型は編集部による整理で、各社の評価基準や合格を保証する回答例ではありません。
選考情報は、最後に自分の卒年・コースへ戻って確認する
事業研究が進んだら、採用サイトから対象年度の募集要項へ進みます。企業研究記事や前年の体験談だけで、現在の選考手順、締切、優遇の有無を判断しないでください。イベント開催日、マイページ登録、ES提出、適性検査では、それぞれ意味も期限も異なります。
CTCの新卒サイトは、確認時点で2028年卒向けマイページを案内しています。ただし、登録案内だけから特定コースの受付中・締切を判断することはできません。CTC公式新卒採用サイト
まずは気になった1社について、公式事例を一つ読み、上の5項目を記入してみてください。資料を大量に集めるより、「分かったこと」と「次に聞きたいこと」を分けると、説明会や面談に持ち込める企業研究になります。

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